こんにちは。
2023年に公開された映画「エゴイスト」。
LGBTQ映画として、話題になり、主演の鈴木亮平さんの恋人役を演じた宮沢氷魚さんが「第16回アジア・フィルム・アワード」(AFA)の最優秀助演男優賞を受賞しました。
その映画。手持ちカメラでの撮影であるため、画面が触れたりして、映像(画面)酔いが続出していることでも、話題になりました。
そこで手持ちカメラでの撮影の長所と短所や、過去にもそのような映画があったのかどうかをまとめてみました。
映画「エゴイスト」はどんな映画?
映画「エゴイスト」についてはこちらをどうぞ⇓
「エゴイスト」上映中の映像酔い続出
松永大司監督は、主演の鈴木亮平さんや、その相手役の宮沢氷魚さんに、
「台本通りじゃなくていい。アドリブ入れていい」
と指示を出していて、台本通りにやって面白みが失われることだけは避けたい、と考えていたそうです。
そのため、出演者を近距離から、手持ちカメラで、1シーン1カットの長まわしのスタイルで撮影するというスタイルでした。
松永大司監督は、自分の監督についてこう語っています。
だから芝居じゃないんですよね。フィクションだけどそこにドキュメンタリー的瞬間を撮りたいと思っていて。だからシンプルにそこに立ってもらえばいい。セリフを言うことが役者の仕事というわけではないですし、大切なことはその先にあると思います
引用元: yahoo.co.jp
ただ、残念ながら、そのせいで、カメラが終始、他の所へと動いていく感じで、画像が常に揺れて、三半規管が弱い人は、車に酔った時のような気持ちの悪さに襲われがちです。
そのせいで、症状がひどくなって、気持ちが悪くて我慢できなくなり、上映中なのに退出せざるを得なくなってしまう人も出たそうです。
そのため、映画「エゴイスト」公式アカウントでは、このような異例のコメントを出しています。
#映画エゴイスト ご鑑賞に際して
本作の特徴のひとつにドキュメンタリータッチの映像スタイルがあります 三半規管の弱い方は画面に酔う可能性がございますので、後方座席でのご鑑賞をご検討下さい 1人でも多くの方に本作が届きますよう
引用元: twitter.com
手持ちカメラでの撮影の長所と短所
手持ちカメラでの撮影では、ドキュメンタリータッチの映像スタイルが保てて、映画の中身が、自然な、臨場感あふれるものになリます。
出演者も、1シーン1カットという長い間をカットなしで撮る場合の方が、感情移入がしやすく、おのずと自然な演技がしやすいです。
その代わり、カットが少ないのと、一人称視点での撮影のせいで、映像が単調になり、ずっと同じで、退屈な感じを与えかねないという短所もあります。
まあ、そこを、どうやって飽きない構成にするのかが、監督の腕の見せ所なのでしょう。
過去に映像(画面)酔いが指摘された映画は?
ブレア・ウィッチ・プロジェクト
1999年のアメリカ映画です。16ミリフィルムカメラで撮影されたホラー映画です。超のつく低予算で製作されながらも世界中で大ヒットしたのだそうです。
2021年2月に投稿されたレビューの一つがこれです。
マジで吐きそーになった! 全編カメラのブレが半端なく、しかも大画面!完全に乗り物酔い状態! 頭痛と胃のムカつき半端なかった。 こんなに気分悪くなった映画初めてだ。 半日気分悪かった。 こんなに観客の体調を崩す映画、ある意味凄げーかも!?
movies.yahoo.co.jp
この視聴者は、三半規管がとても弱い方だったようですね。
クローバーフィールド/HAKAISHA
2008年に同じくハンディのビデオカメラの激しく揺れる画面をリアルに再現した特殊撮影のアメリカ怪獣映画です。
公開された当時、上映を観た観客が激しい乗り物酔いに似た症状、いわゆる“映像酔い”を訴える例が続出したというニュースが相次いだそうです。
それに伴い、アメリカではロサンゼルス、ニューヨークなどの映画館で異例の「注意書き」がチケット売り場に掲出され、
日本でも、同様の事態は想定されるため、<警告!>の事前告知を3月1日から一斉に開始したのだそうです。
ハードコア
2016年のアメリカ・ロシアのアクション映画で、2017年に日本でも公開されました。
アクションカムのこの映画用に開発されたゴープロカメラをヘルメットに装着して究極のPOV映像をゲットした映画です。
飛行機から脱出ポッドで落下したり、落下地点のハイウェイで銃撃戦をしたり、ヘリコプターからロープでぶら下がり飛行したり、高層ビルから地上めがけてジャンプしたり。
アクション俳優のヘルメットに取り付けられていたカメラがその激しい動きを捉えていたわけですから、気持ちも悪くなるわけです。
カメラを止めるな!
2018年に公開された上田慎一郎監督の映画です。
ここ数年で最高の映画」と多くの映画ファンが評価する反面、前半の手持ちカメラでの映像で手ブレが激しいため、「映像酔い」になった人が続出したそうです。
なぜ映像(画面)酔いになるのか
茨城県つくば市にある産業技術総合研究所の、氏家(うじけ)弘裕上級主任研究員によりますと
映像酔いは乗り物酔いと同様、身体の平衡感覚との関わりが原因である可能性が高いが、発生のメカニズムは特定されていない。
一方、映像とくにVRでは、実際に体は動いていないのに、視覚からの情報で体が動いているように感じる。こちらも予測と感覚が一致せず、酔ってしまう。
また、映像の動きの総和量が酔いの起きやすさに関係していることも明らかになってきた。
映像の解像度や画面サイズ、周囲の明るさといった環境も関係している可能性がある。
引用元: www.sankei.com
というのが、科学的な要因だそうです。
研究は進められているものの、「映像(画面)酔い」に関するはっきりした要因は、残念ながら、まだはっきりとは解明されていないのが現実です。
映像(画面)酔いを防ぐ方法
まず、できるだけ映画館の後ろの座席に座ると、スクリーンの外にも目をやることができるので、気が紛れてで酔いを少し紛らわすことができるそうです。
だから、ミニシアターの方が酔いにくいという報告もあります。
「乗り物酔い」に効くいわゆる市販の「酔い止め」は、「映像(画面)酔い」を抑える効果もあるそうです。
ただ、睡眠効果のある薬品も混ざりこんでいる場合が多いので、なるべく、睡眠薬の入っていない「酔い止め」を服用するべきでしょう。上映中に眠くなってしまっては、困ります。
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まとめ
映画「エゴイスト」は、「映像(画面)酔い」によって途中退出を余儀なくされる観客が一定数存在したにも関わらず、2023年2月13日時点で、
映画・ドラマアニメのレビューサービス「Filmarks」
で5つ星中4.1、
Yahoo!映画レビュー
で5つ星中4
と高評価を得ました。
それだけ、臨場感のあるいい映画に仕上がったと言う事ですね!