アーバンベアの放獣は危険!3つの問題点とゾーニングの成功事例も!

こんにちは。

今年「ユーキャン新語・流行語大賞」にトップテン入りを果たしたワードが「アーバンベア」。

「アーバンベア」とは民家のある市街地に自分の行動範囲を広げるクマのことです。

危険だということから相次いで殺処分になったアーバンベアに対して、「かわいそう!」「殺さないで!」という苦情も殺到しています。

ですが、殺さずに放獣することの難しさも指摘され、クマのゾーニングにより、くまとの共存は、日本では難しいと見られています。

さて、アーバンベアの放獣やゾーニングは、本当に不可能なのでしょうか?

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クマに襲われ死傷者多発!駆除するとクレームが殺到する


引用元: sumikai.com

市街地に行動範囲を広げているアーバンベアの被害が、増えています。

今年は全国で11月末までに、すでに212人が熊による何らかの被害に遭っています。

死亡者は、11月末までで6人も出てしまいました。

昨年の死亡者は、たった2人だったことを考慮すると、今年は、現段階ですでに、昨年の3倍に達してしまいました。(引用元: https://www.env.go.jp)

くわしくはこちらをどうぞ⇓

アーバンベア殺処分に賛否!イタリア裁判所が殺人熊の駆除を禁止した理由

アーバンベアの放獣は危険!3つの問題点


引用元: env.go.jp

さて、なぜ、街中に出没するクマを、捕獲したら、殺さずに森の中に放獣してあげることはできないのでしょうか。

日本では、

「放獣は現実的でない」

という意見が主流です。

なぜかというと、まず第一にあげられるのが、

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放獣しても、また、民家近くに戻ってきてしまう可能性が高い

ということです。

ずっと森の中だけを自分の生活範囲として生きているクマに対して、「アーバンベア」は、その名の通り、何かの拍子で人里み降りてきて、民家の柿の木などを見つけて、味を占めてしまったクマたちなのです。

だから、普通のクマと違って、

人里に美味しいものがたくさんある

ということを学習してしまったのです。

一度味をしめた熊は、もちろんまた美味しいものを求めて人里に降りてきてしまうのです。

2つ目のの問題は、山と言っても、国有林だけではなく、

私有林に放獣する場合は、その山の持ち主に、許可を得なければなりません。

その山の地権者が、

「やだ、クマなんて放獣するな!」

と言ったら、勝手にはできません。

3つの目の問題点は

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放獣のためには麻酔で眠らせるといった特殊な技術と高額な費用がかかる

ということだそうです。(引用元: tokyo-np.co.jp)

確かに、やたらでかいクマ!

そのクマを確保して、何とか車に積み込んで、山奥に運んでいって、放獣してあげるには、何人もの職員が1日がかりで取り組まないといけないことでしょう。

費用がかからないわけがありませんね。

アーバンベアを殺さないで放獣する自治体も無いわけではない


引用元: youtube.de

かといって、アーバンベアを駆除しないで、放獣している自治体が、無いわけではありません。

岡山県の例

岡山年では、現在生息する熊は、たったの10頭前後と推定されているため、熊は絶滅危惧種に指定されています。

そのため、クマは、捕獲されても殺されずに、山へ連れていかれ放獣されてきたのでした。でも、今年は、捕獲されたクマの総数は40頭を超えてしまいました。

そのため、地域の農家から、農作業中に襲われるのが怖いとの相談が相次いだのでした。

その農家の人たちの不安の声を受けて、岡山県は、

「人里近くに再度出没した場合は、原則として殺処分の対象とする」(引用元: asahi.com)

と放獣から、殺処分に方針を変更しました。

ですが、基準として、

初めて民家近くに出没したクマには、チャンスを与える

と明記されているため、農家の人たちの心配とは裏腹に、

民家近くに初めて出没したクマは、捕獲された後、山に放獣されます。

「人里近くに2度出たという基準にあわないのに処分したら、保護団体などへの説明がつかない」

という理由でした。

くまちゃん、命拾いしてよかったですね!
もう人里にはこないでね!

クマのゾーニングは不可能なのか


引用元: yahoo.co.jp

さて「ゾーニング」とは何でしょうか?

「ゾーニング」

クマが人里に来るルートや農作物への接触を遮断し、里山のような緩衝地帯を設けて人とクマがすむ地域を分けること(引用元: tokyo-np.co.jp)

市街地とクマの住む山との間に、草を刈るなどして、見通しのいい拾い帯状の地帯を設けて、

クマが、わざわざその帯状緩衝地帯を通り越してまで、市街地に行動範囲を広めるたくなる理由を作らない

という作戦です。

見通しの良い「緩衝地帯」があると、クマにとっては「心理的障壁」になるのだそうです。(引用元: yomiuri.co.jp)

そして、その見通しの良い「緩衝地帯」に、万が一クマが侵入したら、「ベアドッグ」と呼ばれる犬や銃などで追い払うのだそうです。

つまり、クマのテリトリーと人間のテリトリーを、ガッツリ分けちゃおうという方法ですね。

さて、日本で、ゾーニングをやっているところはあるのでしょうか?

ゾーニングの成功事例① 長野県軽井沢市・NPO団体ノッキオ


引用元: youtube.com

実際に、日本でもゾーニングをやっているところはありました。

長野県軽井沢市です。

軽井沢市では、20年以上も前からゾーニングで人とクマのすみ分けを実践していて、捕獲したクマには、放獣する前に発信器をつけて、放獣した後も、行動の調査を続けます。

実際に緩衝地帯に侵入してしまったクマは、発信器によって察知されて、すぐさまベアドッグに追い払割れるのです。

その繰り返しが功を奏して、なんと、人身被害はなくなったのだそうです。

画期的!

もちろん、ゾーニングを管理するには、何十年も、緩衝地帯の伐採や刈り払い、フェンスの設置など、莫大な費用がかかります。

各自治体にとって大きな負担となることは、明白です。

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ゾーニングの成功事例② 石川県小松市

石川県小松市では、市を挙げてゾーニングに力を入れており、2022年12月から2023年3月5日までに、「ゾーニング」のために、クラウドファンディングで6百万円も集めています。

クマと人が共生できる豊かな里山をつくりたい!どんぐりの森づくりと人身事故「ゼロ」を目指します

小松市では2020年に例年の5倍を超えるクマの目撃があり、人身事故も発生しました。クマは本来人目を避けて暮らす動物ですが、主食であるドングリの実が不作で、カキやクリなどが実る人里近くにまで下りてきたことが原因と考えられています。

市では、人里や住宅密集地でのクマ出没や人との遭遇、人身事故を防ぐため、クマが人里に下りてこなくてもドングリが食べられるえさ場づくりと、クマと人とのゾーニング管理などを行うことで、クマと人が共生できる豊かな里山づくりに取り組みます。

皆様からの支援をいただいて実施した2021年の取り組みが少しずつ成果となって表れているのか、幸いなことに2022年はクマの人里への出没はほとんど見られません。

引き続きクマが棲みやすい豊かな森づくりと人身事故「ゼロ」のまちへの取り組みを続けていくため、皆さまからの温かいご支援をお願いいたします。

つまり、

「熊に優しい社会を作ろう」

って、みんなで思って、協力し合えれば、ゾーニングは夢物語ではないということですね!

ゾーニングの成功事例③ 福島県猪苗代町・電気柵の設置

緩衝地帯が設けられているわけではありませんが、電気柵が、クマの農地への侵入を防いでいる町もあります。

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クマとの共存にベアドッグがドローンやAIシステムよりも活躍する理由

チャリティー団体「一般財団法人日本熊森協会」


引用元: youtube.com

「一般財団法人日本熊森協会」の人たちは、クマが殺処分されないことを目指して、活動しています。

クマは「森そのもの」
人工林の増加により、棲み家を失った野生のクマたち

をモットーに、放置人工林の間伐や実の成る木の植樹などをして、クマが住みやすい豊かな森を再生するための活動をしている団体です。

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ベアドッグ・ハンドラー【国内初】田中純平さんの英語がうますぎる理由!

おわりに


引用元: yahoo.co.jp

クマの放獣も、実はゾーニングがしっかりできている軽井沢のような自治体であれば、実はとても現実的な話ですね。

付け焼き刃では無理ですが、この軽井沢や小松市の例に見習って、他の山地の多い自治体でもゾーニングの導入が進むといいですね!

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